幸せのみつけかた

見失った人生を取り戻す方法

本当に恐ろしいのは目に見えない虐待~子どもの人生をコントロールする親たち~

ここ数年で、「毒親」という言葉がかなり世間に浸透してきたように思います。

それだけ毒親に苦しんできた人、現在進行形で苦しんでいる人が多いのでしょう。

 

毒親にはいくつかの傾向がありますが、実際は、いくつかの傾向を併せ持っていて、一つの種類にはっきり分類できることは少ないと思います。

 

私の母も、いくつかの傾向を併せ持ち、更に私の成長と母自身の体力の変化などにより、毒の傾向も変わっていきました。

 

 

 <目次>

 

 

毒親とは

毒親とは、スーザン・フォワードの著書、”毒になる親”を略したものです。

子どもの人生を支配して害悪を与える親の総称です。

 

ネグレクトやけがを負わせるような激しい身体的虐待、性的虐待をする親も含めた総称とされることもありますが、これらは犯罪であり、別次元の話ですので今回は含みません。

 

しかし、精神的虐待は、親本人さえ虐待とは気づかないばかりか、「子どものためにしてあげている」「自分は良い親なのだ」という思い込みにより、助長されていきます。

また、外からは良い親に見えていることも少なくなく、周りの人に理解されにくいため、孤独を深めてしまいます。

親には感謝をするべきという思い込みが蔓延していることもあり、親を悪く思う自分は悪い人間なんだと思い込んで、さらに自分を責めて追い詰めてしまうのです。

 

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何よりも、自分の親が毒親だと気づけない人も多いのです。

親自身が自分は良い親だと言っていることもありますし、他人にはとても良い人を演じられる毒親も多いので、違和感があったとしても、自分の親は良い親だと信じてしまうのです。

 

毒親に育てられた人たちは、絶えず親の機嫌をうかがって生きているため、他人との距離感がつかめずに対人関係に苦労する人も少なくありません。

 

そのため、家でも外でも気の休まる場所がなく、生きづらさを感じます。生きづらさの原因がわからないので、自分がおかしいのではないかと思い悩み、さらに深みにはまっていってしまうのです。

 

いちばん子供に害を与える毒親とは

毒親にもいろいろな定義がありますが、私が考える毒親とは、子どもに何の権利も与えずに、感情の赴くままに子どもをコントロールして支配する親です。

 

子どもをコントロールする親は、自己愛が強い傾向にあります。

 自己愛が強い人というのは、ありのままの自分を愛することができない=ありのままの自分を認められないのです。

したがって自分を保つために、「自分は人より優れている」「自分は特別だ」と思い込んでしまいます。

 

半面、とても脆く傷つきやすいので、自分とは違う意見を言われただけで自分の人格を否定されたと感じてしまい、すぐに感情的になったりします。

自分のプライドを守るためなら、嘘をつくことも厭(いと)わず、自分の優位性を誇示しようとしたり、言い分を押し通そうとします。

 

そして、人の感情を読み取ることができません。

 

 

自己愛が強い傾向にある毒親というのは、どういう人たち?

 

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◇自己愛の強い毒親は、自分の自尊心を保つために、子どもに感謝や賞賛を求める

 

ありのままの自分を愛せないということは、人からの評価が自分を支える全てになってしまいます。

なので、自分はすごい人間なんだ、尊敬に値する人間なんだという願望を現実のものにするために、子どもに感謝を強要するのです。

 

例えばあなたを生んだ時、こんなにも大変な思いをしたのだと延々と語って感謝させようとします。

つまり、こんなにも苦労して生んでやったんだから感謝しろということです。

 

強要では感謝されることはないという原理や、ギブアンドテイクの理論が、対子どもとなると抜け落ちてしまうため、一方的に自分の話だけを続けます。

これでは、子どもは苦しくなってしまい、自分は望まれて生まれてきた子ではない、お母さんを苦しめる悪い子なんだと思い込んでしまいます。

 

毒親は相手の気持ちを察することが極めて苦手なため、子どもに対して、生まれてきてくれてどんなに嬉しかったか、生まれてきてくれたことに対する感謝などのフォローを入れることはありません。

 

そして、自分が思った通りの感謝や賞賛が得られない場合、子どもの人格や能力を否定します。

自分が感謝されないのは、この子が人としておかしいからであって、自分がダメなわけではないと自分を納得させるのです。

 

◇自己愛の強い毒親は、子どもを一人の人間として見てはいない

 

自己愛の強い毒親にとって子どもは、自分を立派な人間に見せるためのツールでしかありません。

 

なので、子どもが他人から褒められたときに、異常な反応を見せます。

褒めてくれた相手、または子どもに対してマウントを取りたいときには、毒親は子どもの功績を横取りして、自分の功績にしてしまいます。

 

また、毒母は娘が(特に容姿を)褒められることに嫌悪感を示します。

私が容姿を褒められたときの母の反応は・・・

「お母さんがきれいだから、そのおかげであんたもきれいだと言われるんだから、お母さんに感謝してよね!」

「お母さんだって昔は綺麗だっていっつも言われてた。お前なんかより綺麗だった。

今だってよく言われる!」

「若けりゃ誰だって綺麗だよ!若いってだけ!」

 

あるとき疑問に思って、「お母さんは娘が褒められるのが嬉しくないの?」と聞いてみました。

すると、「あんたが図に乗らないようにしてやってんの!感謝しなさい!」というお答えでした。

 

 

自己愛の強い毒親は人前でも平気で子どもを貶めます。

子どものメンツやプライドや立場など、相手がどう感じるかをくみ取れないのです。

 

また、そのときの気分によって、一度口にしたことも簡単に翻すので、子どもは混乱してしまいます。

そのことを追及すると、途端に激高して子どもに怒鳴り散らしたりします。

「親に向かってそんなことを言うなんて何てひどい子だ。」

人間性がおかしい」と責められたり、逆に嘘つき呼ばわりされたり、記憶力が悪いと馬鹿にされたりします。

自分の言動を顧みることはなく、全てを子どものせいにすることで親は被害者へと転じ、子どもをコントロールします。

 

そして、毒親にひどいことを言われて落ち込んでいると、「そんなつもりじゃない」「そんな受け取り方をするなんて、やっぱりお前は人としておかしい」と、結局、親自身がさらに被害者になることで、子どもを完全な悪者に仕立て上げます。こうして子どもは、親とまともに話し合うことを諦めてしまうのです。

 

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自己愛の強い毒親は、自分はすべてが正しく、子どもは間違っていると考えます。

自己愛の強い毒親は、子どもがいつも悪いことを考えているので、信用できないと感じています。

自己愛の強い毒親は、子どもは口答えせず、親の言う通りにするべきだと思っています。

 

そのため、子どもの気持ちや意思など確認することもなく、当然のように子どもの領域に踏み込んできて、詮索をしたり、否定したり、罵倒したりするのです。

 

思春期になって友達と楽しんでいると、「誰のおかげで生活ができていると思ってるんだ?」などと言って楽しむことに罪悪感を持たせます。

 

小さなころからこのようなことが繰り返されていくと、子どもは無気力になり、楽しむことに罪悪感を覚え、自分の意見を持つことはおろか、自分で決めることができなくなってしまいます。

そうして何のために生きているのかわからなくなり、次第に生きている感覚すらなくなっていくのです。

 

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自己愛の強い毒親は、子離れできない

自己愛の強い毒親は、なんとしてでも自分のそばに子どもを置こうとします。

 

 

特に娘をもつ毒母は、決して娘を離そうとはしません。

毒親は娘が、自分よりも幸せになることを許しません。かといってあまりに不幸になることも望みません。ですから、毒親は娘を、他人から見て毒親自身が恥ずかしくなく、毒親自身がみじめにならない程度に不幸でいるよう、巧みにコントロールしながら、母親から離れられないようにしていきます。

 

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娘が離れていきそうになると、根拠も示さず、お前には無理だと否定したり、本当に困ったときに親身になってくれるのは、血のつながった親だけだ。そんな自分勝手をするのなら、もう縁を切るから勝手に出ていけばいいと、脅したりするのです。

 

こんなにも一生懸命育ててあげたのにと、罪悪感を持たせたり、なき脅しをすることもあるでしょう。

 

上記は、一人暮らしをしたいと言った27,8歳の私に、母親が私に言った言葉の一部です。

 

お気づきでしょうか?言っていることが支離滅裂なことに・・・

困ったときに助けてくれるのは親しかいないと言っておいて、自分の言うことを聞かずに家を出るような身勝手をするのなら、お前を捨ててやると脅しているのです。

 

この時の私は、幼いころからあった見捨てられ不安のため、一人暮らしをあきらめました。

また、仕事で帰りが遅くなると連絡をすると、職場に本当にいるのか確認しに来るような親だったので、一人暮らしをしても監視されている気がして、心の休まるときはないだろうと容易に想像がつきました。

 

そして、母親はなぜか昔から、私が性にだらしのない女だと決めつけており、男を連れ込むために一人暮らしをするつもりだろうという心の声がひしひしと伝わってきて、話し合うことに疲れ果ててしまいました。

私は純粋に、息の詰まる実家から出たかっただけなので・・・

 男性とお付き合いしたことのない高校生のころから、アバズレだとかお尻の軽いねーちゃんだとか言われていました。実の娘にこんなこと言いますかね・・・?

 

そもそも自分の親が毒親だとは気づきにくい

私もそうでしたが、壮絶な精神的虐待を受けている人たちほど、自分の親が毒親だとは気づきにくいものです。

なぜなら、毒親たちは彼ら自身も意識せずに、巧妙に子どもの心をコントロールしているからです。

 

いつも、「お前のために」「こんなこと言ってくれるのは親しかいない」「お母さんが明るいからこの家は明るいのよ」などと洗脳されているわけです。

それに、毒親は外面がものすごく良いので、友達や近所の人たちに「良いお母さんだね」などと褒められるのです。

 

また、あまりにも辛くなると、防御反応として現実を捻じ曲げてしまうこともあります。

この世で一番大好きなはずの親に、精神的に虐げられ続けると、辛すぎて現実を直視できなくなってきます。

すると、子どもは自分の中で、理想の家族を作り出すようになるのです。自分の家族は素晴らしく、母親は優しい。自分は愛されていて幸せだと。

毒親は、外面が良い人も多いので、外では良い親、良い家族、幸せな家族を演じています。

子どもの中の理想像と、毒親の外での家族像がリンクして、それが現実のような錯覚を起こしていくのです。

次第にその思い込みをなぞるように、子ども自身も演技をしていくようになるのです。

 

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まとめ

目に見えない精神的虐待の恐ろしさを、少しでもお分かりいただけたでしょうか。

生まれ育った環境が”普通”になってしまうことで、じわじわと蝕まれていることに気づけずに苦しんでいる人が多くいます。

 

毒親について相談を受けたときのお願い

この先、親子関係で悩んでいる友人から相談を受けたら、やっとの思いで相談したことを、どうか理解してあげてください。

 

自分が経験していないことを理解することは難しいとは思いますが、幸せな家庭ばかりではなく、精神的に子どもを蝕んて行く親もいることを前提に、突き放さずに聞いてあげてください。

大変だったね。辛かったね。それだけでも良いのです。

 

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どうか、「親子なんだから」とか、「子どもを大切に思わない親なんていないよ」などと言わないであげてください。

もう十分すぎるほど、自分で自分を責めた友人を、更に責めないでください。

 

本当には理解できなくても、友達として寄り添ってあげてほしいのです。

それだけで救われることがたくさんあります。どうかお願いします。

 

毒親に苦しんでいる方へ

あなたには、同じ苦しみを持つ仲間がたくさんいることを忘れないでください。

あなたは泣いていいし、怒ってもいい。

自分の気持ちを表現する権利は、この世の誰もが与えられているものです。

自分の人生を生きる権利は、誰にも等しく与えられるべきものです。

親だからって、何をしても良いわけではありません。

あなたは親から逃げたっていいのです。

 

我慢できないほど辛く、苦しいときは、公的機関やカウンセラー、精神科医を頼ってください。

周りをよく観察して、助けてくれそうな親戚や大人、友人がいないか確かめてください。(間違った人に助けを求めると、問題が大きく複雑になってしまうこともあります。慎重に見極めてください。)

 

もしあなたが成人していて、自立できるだけの蓄えと収入があるのなら、親と物理的な距離をとることをお勧めします。

(絶縁を勧めているわけではなく、ここでは疎遠を意味しています。絶縁したほうが良い場合もありますが、絶縁しても、法的な縁が切れるわけでもありませんし、無理やり絶縁しても遺恨は残りますので。)

 

見捨てられ不安が強く、親から離れることで絶縁になってしまうのではと不安な方は、決して無理をしないでください。

まずは少しずつ心の自立をしていきましょう。