毒親育ちの私が、子育てするときに気を付けていること ~親離れ編~
自分が毒親育ちだと気づくと、親と同じことをしてしまうのではないかと不安になって、子どもを生み育てることを躊躇してしまうことがあります。
私も、心理的虐待を連鎖させてしまったらどうしようと思い悩みました。
子どもを生んでからも、子どもが成長するにつれ、自分が親と同じ言い回しをしていることに気づいてパニックになり、痛いところをわざと押すように、さらにひどい言葉を娘に投げつけたこともありました。
いまでも、後悔したり、悩むこともたくさんあります。
でも、自分の認知のゆがみを見直して、母と私、私と娘を個として考える努力を続けるうちに、親と似てしまう部分があるのは仕方がないと受け入れられるようになりました。
また、私と母親は別人だから、全てが同じになってしまうわけではないとわかるようになりました。
そして、怒りも子どもに対する反応も全て、自分の選択によるもので、自分が責任を取るべきものなのだと理解することができたのです。
つまり、親から正しい子育ての見本を見せてもらえなかったから、自分もできないと親のせいにするのではなく、私なりの子育ての道を探していったのです。
幸せな家庭で育った人でも、育児に躓くことはたくさんありますし、子どもに辛く当たってしまって苦しむ人もたくさんいます。
毒親育ちは大きなハンデを抱えてはいますが、だからこそ、子どもの気持ちをわかってあげられるし、努力次第で、良い親子関係を築けるとも思うのです。
あなたは自分の人生を、選ぶことができるのです!
私が心がけてきた子育てのヒントが、苦しんでいる方のお役に立てれば嬉しいです。
まずは、子育ての前に親離れ編から。
自分が毒親育ちだと認める
私は現在、親と絶縁状態にあります。
絶縁してすぐのころ、私は精神的にボロボロの状態になり、心配した夫は半ば強制的に精神科に連れて行ってくれました。
それまでは、「私は毒親育ちなのかもしれない」と思う反面、良い思い出もあったため、それにすがるように「毒親とは言い切れない」などと、思考がぐるぐると回っていました。
私の中の満たされなかった子どもが、それを認めたくなかったのかも知れません。
なにより、親のせいにするなんて、やっぱり私は狡くて卑しい人間なんじゃないかと思っていました。
それでも、最初は拒否反応が出て読めなかった毒親関連の書籍を、少しずつ読めるようになったころから、夫に自分の気持ちを話し始めました。
私の生い立ちを聞いた夫は、「生きていてくれてありがとう」「こまこは自分に厳しすぎるから、小さなことでも自分をどんどん褒めなよ」と言いました。
当時の私は、自分が生きている意味も分からず、生きているという実感もなかったので、夫の言葉に衝撃を受けました。
自分が生きていることを喜んでくれる人がいる。
私は自分を褒めていいんだ。そう分かったとき、涙が止まりませんでした。
毒親関連の本を読んだり、ブログを見たりして、自分と似た境遇の人がこんなにもいるのかと思うと、一人ではない気がして勇気をもらえました。
そして、それまでは自分が毒親育ちであることに複雑な気持ちを抱いていましたが、次第に、自分は毒親育ちなんだと受け入れられるようになりました。
親離れの一番最初に必要なことは、なによりも自分が毒親に育てられたということを認めることです。
生きづらさの原因が、自分のせいではなく、成長の過程で植え付けられた思い込みであることを認識します。
悲観するわけでもなく、ただただ、自分にはどうしようもなかった。それでも頑張って生きてきたことを受け入れて褒めてください。
あなたは十分頑張ってきたんです。辛い思いをしてもなお、頑張って生きてきた。
それだけで凄いことなんです!
全てを親のせいにすることは問題ですが、思考の偏りは親からの影響を受けやすいので、まずは責任を背負い込むことをやめましょう。
自分が傷ついてきたこと、辛い思いをしたことを認めて、頑張ってきた自分をたくさん褒めてあげてください。
もし、理解してくれるパートナーがいれば、たくさん褒めて認めてもらってくださいね!私は、夫の理解と包容力に救われたので。
心の怒りをぶちまける
私の通っていた精神科の先生は、あまり話を聞いてくれる人ではなかったので、専ら聞き手は夫でした。
夫は、パニック障害になって日常生活もままならなくなった私の、繰り返される親への気持ち、親からされたことを、何度も何度も、「大変だったね。」「頑張ったね。」とただただ聞いてくれました。
夫に心の怒りや気持ちを聞いてもらううちに、親に対する気持ちがどんどん整理されていき、共依存から脱することができました。
親に決めつけられていた「お前は〇〇だ」というパーソナリティーを塗り替えていくこともできました。
毒親育ちは、親に相談したり意見を言うことすら許されてこなかったので、人に心の内を話すことが苦手な人が多いようです。
そのうえ、親のこととなると理解されないことが多いので、相談するハードルがさらに上がってしまいます。
そのため、心に怒りや悲しみ、憎しみなどの感情を溜め込んでいます。
その感情をさらけ出すのです。(親に向かってではありません)
最初は思い出すのも辛い作業です。
あまりの辛さに、記憶がすっぽり抜け落ちていることもあります。
それでも、自分の感情をなぞることで、本当の自分が少しずつ見えてくるのです。
親に決めつけられたダメな自分ではなく、本当の自分が見えてきます。
辛かったら、絶対に無理をしないでくださいね。
あまりにも辛い作業ですので、専門のカウンセラーの元で行うことをお勧めします。
そして、少しづつ自然に、自分の感情を出していかれるようになっていくのです。
このプロセスと並行して、毒親や毒親育ちについての知識を学ぶと良いと思います。
自分の状況を客観的に見ることに役立ちます。
※ただし、体験談などにのめりこんで、「親のせいだ、自分は悪くない」と思いすぎてしまうと、親に囚われてしまい、結局共依存から抜け出せなくなってしまうので注意してください。
毒親から心身ともに自立する
これが毒親育ちの最終目標だと思います。
最終目標にして最難関の課題でもあります。
私の場合は、もう私をコントロールできないと悟った母親が、「2歳までのお前は、親の言うことをよく聞いてかわいかったのに!」などと言い放って、親戚や兄に嘘を吹き込み、私が孤立していくのを見ながら楽しんでいました。
特に絶縁しましょうなどという話もなく、6年以上、連絡も取ってないし、お互いにどこに住んでいるのか詳しくは知らないので、絶縁かな・・・という不思議な感じです。
子どもが生まれたときに、私側の祖父母がいないことをどう説明すればよいのか、とても悩みました。
今のところ、外国に住んでいて会えないんだよと説明していますが(本当に海外移住しています)、大きくなった時のことを思うと心が苦しいです。
この段階にくるまでに、たくさん自分を褒めて、少しずつ自分の意見を持つことや自分で決めることに自信をつけておいてください。
私は突然のことで、パニック障害を患ってしまったので、できる準備はしておいたほうが、衝撃が少なく済みます。
精神的な病気にかかると自分も大変ですが、支える家族もとてもつらい思いをします。
自分自身の力で物事を決定し、自分自身の力で生活ができるということは、毒親に何を言われても立っていられる自信になります。
私が常に意識していることは、「親の言動は親に責任がある」でも、「大人になった自分の言動は自分で責任を持つ」です。
親が何を言っていても、それは親の問題であり、あなたが悪いわけではありません。
でも、その連鎖を子供につなげてしまうのは、自分の責任だと思っています。
私はもう大人で、毒親に育てられた認識もあり、自分で子育てについても、毒親についても学ぶことができる。
そして、それを取捨選択して活かすことができるのです。
完璧な親などいませんので、私はもうこれ以上親を責めることはありません。(絶縁しているので責めようもありませんが・・・)
私も、完璧な親を目指しません。
ただ、夫と娘と私が笑って過ごせるよう、家がくつろぎの場所になるように頑張るだけです。
私は親と絶縁という結果になりましたが、しばらくの間は、これで本当に良かったのかと悩みました。
縁を切ったのは親なので、自分ではもうどうにもできないと分かっていても、悩みました。
先述した通り、子どもに、私側の祖父母がいないことを、どう説明したら良いのか今でも答えは出ていません。
でも今は、この結果に後悔はありません。
私の親のために、色々と気遣ってくれた夫を悪者にした母親から、私は夫を守りたかった。
たとえ親兄弟親族全てを失っても、私は夫を失わずに済みました。
そのおかげで、この世で何よりも愛おしい娘に出会うことができて、私は今、幸せです。
主治医からの後押し
「心の怒りをぶちまける」でお伝えした通り、私の主治医はあまり話を聞いてくれる人でありませんでした。
それでも、数少ない主治医の言葉は私を勇気づけるものであり、私に希望を与えてくれたので、どなたかの後押しになればと思います。
主治医は、親と絶縁状態になって自分を責める私に、「親子だって合う、合わないはあります。」「親だからって一緒にいなければいけないわけではないし、分かり合えるわけではないですよ。」「直接、診察したわけではないので断定はできませんが、あなたのお母さんは、自己愛性人格障害など、何らかの人格障害があると思われます。あなたは、自分がおかしいのではと悩んでいますが、あなたは正常です。だから、あなたが今やるべきことは、お母さんから逃げることです。親だからと遠慮せずに逃げてください」と言いました。
誤解しないでいただきたいのは、私は絶縁を勧めているわけではありません。
でも、生きることが苦しい、毒親が近くにいることで、パートナーや大切な子どもたちに害があるのなら、絶縁という選択肢もありますよということです。
ただし、絶縁にはパートナーの理解は必須です。疎遠も然り。
夫婦でよく話し合ってくださいね。
子育て編へ続きます。